ハウスクリーニングの費用相場

費用相場 25,000〜80,000円/一式

ハウスクリーニングは、賃貸物件の原状回復で最も一般的な工事項目です。退去時のクリーニング費用は特約で借主負担とされているケースが多く、入居者からの問い合わせが発生しやすい項目でもあります。

間取り別のハウスクリーニング費用

間取り費用相場
ワンルーム・1K25,000〜35,000円
1DK・1LDK30,000〜45,000円
2DK・2LDK40,000〜55,000円
3DK・3LDK55,000〜80,000円
4LDK以上70,000〜100,000円

上記は空室の状態でのクリーニング費用です。入居中のクリーニングは割高になります。

間取り別ハウスクリーニング相場早見表

退去後の空室クリーニングは、専有面積、設備数、汚れの強さで見積もられます。単身向けは水回りが1セットで済むため下限に近く、ファミリー向けは浴室、キッチン、窓、収納、建具の作業量が増えるため総額が上がります。

間取り面積目安空室クリーニング費用目安
ワンルーム・1K20〜30㎡25,000〜40,000円
1DK・1LDK30〜40㎡30,000〜50,000円
2DK・2LDK40〜60㎡40,000〜70,000円
3DK・3LDK60〜80㎡55,000〜90,000円
4LDK以上80㎡以上70,000〜120,000円

この表は、日本ハウスクリーニング協会の公開情報と、複数業者の空室クリーニング公開価格を参考にした目安です。協会はハウスクリーニング士などの認定資格を案内しており、業者選定時の品質確認にも使えます。価格は地域差が大きく、都市部の繁忙期、エレベーターなし物件、駐車場がない物件では出張費や駐車場代が別途乗ることがあります。出典: https://www.jhca.or.jp/

公開価格を比較するときは、空室クリーニングと在宅クリーニングを分けます。在宅は家具や生活用品の移動、作業時間の制約、養生範囲が増えるため、空室より高くなることがあります。賃貸退去の見積もりで見るべきなのは、退去後に鍵を預けて行う空室清掃の価格です。各社の公開料金表で、部位別費用と空室/在宅の区別を確認すると比較しやすくなります。

クリーニング作業内訳と単価(部位別)

一式見積もりだけでは高いか安いか判断しにくいため、退去精算では部位別の作業内容を確認します。水回りやエアコンは単独メニューとしても発注されることが多く、汚れの程度で追加費用が出やすい場所です。

作業箇所単価目安確認したい内容
フローリングワックスがけ3,000〜8,000円/部屋洗浄込みか、ワックス剥離が別料金か
キッチン全体8,000〜15,000円シンク、コンロ、収納扉、壁面の油汚れ
浴室全体10,000〜18,000円エプロン内部、鏡の水垢、換気扇
トイレ5,000〜10,000円便器、床、壁、換気扇、尿石除去
洗面所5,000〜10,000円洗面ボウル、鏡、収納、排水口
エアコン1台8,000〜15,000円壁掛け通常型か、お掃除機能付きか
レンジフード8,000〜15,000円分解洗浄の範囲、シロッコファンの有無
窓ガラス・サッシ2,000〜4,000円/箇所網戸、レール、カビの除去

借主負担にできるのは、特約で明確に合意された範囲か、通常清掃を怠ったために追加作業が必要になった範囲です。作業明細に「水回り一式」「室内清掃一式」とだけ書かれている場合は、どの部位のどの作業かを確認してください。

特に争いになりやすいのは、エアコン内部洗浄、レンジフード分解洗浄、浴室エプロン内部洗浄です。これらは通常の室内清掃とは別メニューで扱われることが多く、特約に含まれるのか、汚損があるため追加になったのかで負担者が変わります。退去立会い時には、汚れの状態を写真で残し、通常清掃の範囲を超える作業だけを分けて説明できるようにしておくと、精算時の納得感が高まります。

場所別の個別クリーニング費用

場所費用相場
キッチン12,000〜20,000円
浴室12,000〜18,000円
トイレ6,000〜10,000円
洗面所6,000〜9,000円
エアコン8,000〜15,000円
レンジフード10,000〜18,000円
ベランダ8,000〜15,000円

クリーニング特約と借主負担

賃貸借契約にクリーニング特約がある場合、借主負担とすることが認められています。ただし、特約が有効となるための条件があります。

  1. 借主がクリーニング費用を負担することについて認識していること
  2. 借主が通常の原状回復義務を超える負担であることを認識していること
  3. 借主がその負担について合意していること

特約の金額が具体的に明示されていない場合や、相場を著しく超える金額の場合は、無効と判断される可能性があります。

賃貸特約のクリーニング費用 — 借主負担の上限目安

クリーニング特約は、契約書に金額と負担内容が具体的に書かれているほど有効性を説明しやすくなります。反対に「退去時清掃費は借主負担」とだけ書かれ、金額や範囲が分からない条項は、通常の原状回復義務を超える負担について合意があったか争われやすくなります。

間取り特約金額の目安注意点
ワンルーム25,000〜35,000円5万円前後になると内訳確認が必要
1LDK35,000〜45,000円エアコン洗浄込みかを分けて見る
2LDK45,000〜60,000円水回りの追加清掃との二重請求に注意
3LDK60,000〜80,000円面積と設備数に見合うか確認

相場の1.5倍を超える定額特約は、合理的な理由がないと不当と判断されやすくなります。前橋簡裁平成14年12月17日判決では、金額が明示されていないクリーニング特約の有効性が問題となりました。国土交通省ガイドラインでも、通常の清掃を行って明け渡した場合のハウスクリーニングは原則として貸主負担という考え方が示されています。借主負担にする場合は、契約時に金額、対象範囲、通常負担を超える趣旨を説明し、署名欄や重要事項説明で記録を残す運用が必要です。

管理会社の実務では、募集図面、重要事項説明書、賃貸借契約書、初期費用明細の金額をそろえておくことが重要です。申込時は「退去時清掃費」と書かれていたのに、契約書では「原状回復費一式」となっているような表記ゆれは、後日の説明を難しくします。借主側は、契約前に清掃費が定額なのか、退去時の実費精算なのか、エアコン洗浄や消臭消毒が含まれるのかを確認してください。

管理会社向けの発注ポイント

  1. クリーニング業者は定期的に相見積もりを取り、適正価格を維持する
  2. 作業内容の明細(水回り・窓・エアコン等)を契約時に明確にしておく
  3. 仕上がりのチェック基準を設け、業者との間で品質を合意しておく
  4. 入居者への精算時は、特約に基づく金額を明示し、内訳を説明できるようにする

ハウスクリーニング費用を抑える5つの方法

退去前後の清掃費は、発注条件を整えるだけでも下げられることがあります。借主側は通常清掃を済ませておくこと、管理会社側は同じ仕様で相見積もりを取ることが基本です。

  1. 自分で事前清掃を行う。換気扇、レンジ周り、水回りの汚れを落としておくと、追加清掃費を5,000〜10,000円程度抑えられることがあります。
  2. 2〜3社から相見積もりを取る。同じ間取り、同じ作業範囲で比較すれば、平均10〜20%安い提案が見つかることがあります。
  3. 閑散期に依頼する。梅雨時期や11月など、引越しが少ない時期は10〜15%の割引が出る場合があります。
  4. パック料金を使う。エアコン、キッチン、浴室のセットは、単発メニューの合計より15〜25%安くなることがあります。
  5. 引越し業者のクリーニングオプションを確認します。引越しと同時に手配できる場合、単独依頼より20〜30%安いことがあります。

ただし、退去精算で管理会社指定の空室クリーニングが契約条件になっている場合、借主が外部業者を手配しても特約費用が消えるとは限りません。費用を抑える交渉では、契約書の特約金額、清掃済みの写真、見積書の内訳をセットで確認します。

オーナー・管理会社側は、安さだけで業者を選ぶと再清掃や入居後クレームのコストが増えることがあります。水回りのカビ残り、レンジフードの油残り、サッシの砂ぼこりは内見時にも目立ちます。発注仕様書に「どこまで分解するか」「ワックスの有無」「エアコン洗浄の扱い」「写真報告の枚数」を入れておくと、価格比較と品質管理を両立しやすくなります。

よくあるトラブル事例と対処

クリーニング費用はガイドライン上「通常清掃の不履行」がない限り原則として貸主負担です。特約での借主負担化は条件があり、無効と判断された判例も複数あります。

事例1: ワンルーム入居1年で退去した借主に、特約に基づきハウスクリーニング費用5万円が請求された。間取りに対する相場(25,000〜35,000円)を明らかに超えていたため、消費者契約法10条「消費者の利益を一方的に害する条項」に該当する可能性が指摘され、相場水準まで減額された。

事例2: 入居中に通常の清掃を行っていた借主に、退去時にクリーニング特約2.5万円が請求された。借主は特約の存在自体を契約時に説明されていなかったと主張。最高裁判決(平成17年12月16日)でも「賃借人がクリーニング費用を負担することについて明確に認識し、合意していたこと」が特約有効の条件とされており、説明不足の場合は無効となるリスクがあります。

特約有効性の3要件(借主の認識・通常義務超過の認識・負担合意)を契約書に明記し、入居時に書面で説明することがトラブル防止の出発点となります。

出典・参考文献

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