空室期間の短縮は管理会社にとって最重要テーマの一つです。家賃8万円の物件なら、1週間の空室で約18,000円、1か月で8万円の機会損失になります。オーナーにとってはゼロ収入の期間であり、管理会社の提案力が問われるポイントでもあります。
退去から再募集開始までのリードタイムは、管理会社のオペレーション次第で大きく変わります。各工程を見直して1日ずつ短縮できれば、全体で1-2週間の差が生まれます。
リードタイムの構造を分解する
退去から再募集までのフローは、大きく6つの工程に分かれます。
| 工程 | 標準日数 | 目標日数 |
|---|---|---|
| 退去立会い | 退去日当日 | 当日 |
| 写真共有・見積もり依頼 | 1-3営業日 | 当日-翌日 |
| 見積もり回答 | 2-5営業日 | 1-2営業日 |
| 発注・着工 | 1-3営業日 | 翌営業日 |
| 工事実施 | 1-5日(物件規模による) | 変わらない |
| 検収・再募集開始 | 1-3営業日 | 当日 |
工事そのものの期間は短縮しにくいですが、工事前後の事務工程には改善余地が多く残されています。標準フローで2-3週間かかっていたリードタイムを10日程度に短縮した管理会社もあります。
退去前の「予告連絡」が最大のレバー
退去の1か月前に業者へ予告連絡を入れることが、リードタイム短縮で最も効果が大きい施策です。
入居者から退去連絡を受けた時点で、業者に「○月○日に退去予定の物件あり。間取りは1LDK、築○年」と一報を入れてください。業者側はこの予告を受けて、その時期のスケジュールを調整できます。退去当日に初めて連絡するのと比べて、着工までの待ち時間が数日単位で変わります。
繁忙期(2-4月)は業者のスケジュールが2-3週間先まで埋まっていることが珍しくありません。予告連絡があるかないかで、着工が1-2週間前後します。
立会い当日の写真共有
退去立会いで撮影した写真は、立会い当日中にクラウドストレージにアップロードしてください。翌営業日には業者に共有URLを送り、見積もり依頼と同時に参照できるようにします。
写真の共有方法として、Google DriveやDropboxの共有フォルダが手軽です。業者ごとにフォルダを分けるのではなく、物件ごとにフォルダを作り、立会い写真と見積もりを一か所にまとめると、後のオーナー報告にもそのまま使えます。
「立会い後に写真を整理して、翌週に業者へメールで送る」というフローを踏んでいる場合、ここだけで3-5日のロスが発生しています。
見積もり即日回答の業者を選ぶ
見積もり依頼から回答までの日数は、業者によって大きく異なります。1-2営業日で回答する業者もあれば、1週間以上かかる業者もあります。
業者選定のときに「見積もり回答までの標準日数」を確認してください。国交省ガイドラインに沿った見積もり基準を共有しておけば、確認工程の手戻りも減らせます。年間契約を結んでいる業者であれば、過去の実績から平均的な回答日数が分かります。回答が遅い場合は、その原因が人手不足なのか、社内承認フローの問題なのかを業者に確認し、改善できるか相談してみる価値があります。
複数の業者と取引がある場合、見積もり回答スピードも業者評価の指標に加えてください。
発注から着工までの待ち時間を消す
見積もりを承認したら、即日発注できる体制を整えておきます。
社内の承認フローが「担当者→課長→部長」のように多段階になっている場合、少額案件(たとえば20万円以下)は担当者の判断で発注できるルールにすると、1-2日の短縮になります。承認フローの見直しは組織の意思決定ですが、空室期間という明確なコストに換算して提案すれば、上長の理解も得やすくなります。
年間契約で単価が固定されている業者の場合、見積もり承認プロセス自体を省略できるケースもあります。
工事完了前に再募集を準備する
工事が完了してから募集条件の設定や物件写真の撮影を始めるのではなく、工事期間中に並行して準備を進めます。
工事着工のタイミングで、ポータルサイトへの掲載情報を更新してください。物件写真は前回募集時のものを仮掲載し、「○月○日から入居可」の表記にしておけば、工事完了前から問い合わせを受けられます。工事完了後に写真を差し替え、掲載を本公開にすれば、「工事完了→撮影→掲載→問い合わせ」のリードタイムがゼロになります。
仲介会社への募集依頼も工事中に出しておけます。完了日を伝えておけば、仲介会社は内見予約の段取りを先に進められます。
検収の標準化
工事完了後の検収(仕上がり確認)にも時間がかかりがちです。担当者のスケジュールが合わず、完了後2-3日放置されるケースは珍しくありません。
検収のチェックリストを標準化し、確認項目を明確にしておくと、担当者が変わっても同じ品質で検収できます。チェックリストで合格ラインを満たしていれば即日OKとし、手直しが必要な箇所だけ業者にフィードバックするフローにしてください。
退去立会いのチェックリストについては退去立会いチェックリストで詳しく解説しています。原状回復費用の間取り別相場と合わせて、退去対応業務の全体最適化に取り組んでみてください。
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