原状回復工事の単価表【2026年最新】クロス・床・畳の費用一覧と坪単価相場

原状回復工事の見積もりを受け取ったとき、記載されている金額が適正なのかどうか、判断に迷うことは珍しくありません。特に管理会社や不動産オーナーにとっては、工事業者から提示された単価が相場の範囲内かを確認する作業は、コスト管理の基本です。

この記事では、賃貸物件の原状回復工事で発生する主要な工事項目について、部位別・工事内容別の単価表を一覧でまとめています。クロス張替え、フローリング、クッションフロア、畳、水回り、設備、ハウスクリーニング、店舗・オフィスまで、原状回復工事の施工目安単価を網羅しました。手元の見積もりと照合しながら、各項目の妥当性を確認する際の参考にしてください。

単価表の使い方は、まず該当部位の施工目安単価を確認し、次に見積もりの数量(施工面積)・材料グレード・施工費の内訳を照合する流れです。「## 見積もり照合の実務ポイント」セクションで具体的な照合手順を解説しています。

なお、個別の部位をさらに深掘りしたい場合は、部位別単価DBの各ページで詳細な解説を確認できます。

壁・天井の工事単価

壁と天井は、原状回復工事で最も施工面積が大きく、費用の大部分を占める部位です。

クロス(壁紙)張替え

工事内容単価備考
量産品クロス(普及品)1,000〜1,200円/m2賃貸物件で最も多い白系・無地
1000番台クロス(中級品)1,200〜1,500円/m2柄物・防カビ・消臭等の機能性クロス
ハイグレードクロス1,500〜2,000円/m2輸入クロスやデザイン性の高いもの

クロスの耐用年数は国交省ガイドラインで6年と定められており、入居年数に応じて借主の負担割合は下がります。入居3年なら残存価値は約50%、6年以上で残存価値はほぼゼロ(1円)です。ガイドラインの負担ルール全体についてはガイドライン解説で詳しく取り上げています。

塗装

工事内容単価備考
壁面・天井の塗装800〜1,200円/m2コンクリート打ちっぱなし物件等
木部塗装(巾木・枠材)1,000〜1,500円/m長さあたりの計算
鉄部塗装(ドア枠等)1,200〜2,000円/m2サビ止め処理含む
玄関ドア(室内側)塗装15,000〜25,000円/枚表面の傷・変色がある場合

塗装仕上げの物件は部分的な補修がしやすく、色合わせができれば該当箇所だけの塗り直しで済むことがあります。

床の工事単価

床材は物件によってフローリング、クッションフロア、畳と種類が分かれるため、単価体系もそれぞれ異なります。

フローリング

工事内容単価備考
部分補修(リペア)10,000〜30,000円/箇所小さな傷・凹みの補修
重ね張り(上張り)8,000〜10,000円/m2既存床の上に新しいフローリングを張る
張替え(新規)10,000〜15,000円/m2既存床を撤去して新しいフローリングを張る
無垢材フローリング15,000〜20,000円/m2高級物件で使われる天然木材

フローリングの経年劣化の扱いはクロスと異なるため注意が必要です。部分補修の場合は経過年数が考慮されず、全面張替えの場合は建物の耐用年数(木造22年、RC造47年)に準じます。耐用年数DBで各部材の耐用年数を一覧で確認できます。

クッションフロア(CF)

工事内容単価備考
普及品2,700〜3,500円/m2賃貸物件の標準グレード
中級品3,500〜4,500円/m2木目調・タイル調など意匠性が高いもの

CFシートの耐用年数はクロスと同じ6年です。トイレ(1〜2m2)なら2,700〜9,000円、洗面所(2〜3m2)なら5,400〜13,500円が目安になります。

工事内容単価備考
裏返し4,000〜5,000円/枚畳表を裏返して再利用
表替え5,000〜8,000円/枚畳表と畳縁を新品に交換。最も一般的
新畳8,000〜15,000円/枚芯材ごと新品に交換

畳表はガイドラインで消耗品として扱われるため、クロスのような経過年数による減価控除は適用されません。6畳間(12枚)の表替えで60,000〜96,000円が費用の目安です。

水回りの工事単価

水回りは汚れが蓄積しやすく、クリーニングだけでなく部品交換や補修が発生しやすい箇所です。

浴室

工事内容単価備考
クリーニング(標準)15,000〜20,000円エプロン内部洗浄なし
クリーニング(エプロン内部込み)20,000〜25,000円ユニットバスのエプロン内側まで
カビ除去(専門処理)10,000〜20,000円通常清掃で取れないカビ
コーキング打ち替え15,000〜25,000円浴槽周り・壁面の目地
浴槽ひび割れ補修20,000〜40,000円FRP浴槽のリペア
鏡のウロコ除去・交換5,000〜15,000円研磨で除去できない場合は交換

キッチン

工事内容単価備考
キッチンクリーニング12,000〜20,000円シンク・コンロ・壁面
レンジフード分解洗浄10,000〜18,000円油汚れの蓄積度合いで変動

トイレ・洗面所

工事内容単価備考
トイレクリーニング6,000〜10,000円便器・タンク・床面
洗面所クリーニング6,000〜9,000円洗面台・鏡・床面

水回りの汚れは、借主が日常的に清掃していれば通常損耗の範囲で済みます。一方、清掃を長期間怠ったことによる著しいカビ、排水口の詰まり、油汚れの蓄積などは善管注意義務違反として借主負担になるケースがあります。

設備の工事単価

エアコン

工事内容単価備考
壁掛け(通常タイプ)クリーニング8,000〜12,000円/台フィルター・内部洗浄
壁掛け(お掃除機能付き)クリーニング13,000〜20,000円/台分解に手間がかかる
天井埋込タイプ クリーニング20,000〜35,000円/台事務所・店舗物件

エアコンの耐用年数はガイドラインで6年とされていますが、クリーニング費用についてはフィルター掃除を怠ったことによる著しい汚れが借主負担の判断基準です。

建具・ドア

工事内容単価備考
室内ドアの傷補修(リペア)10,000〜20,000円/箇所表面の傷・凹み
室内ドア交換30,000〜80,000円/枚穴あき・変形の場合
襖の張替え3,000〜8,000円/枚和室
障子の張替え2,000〜5,000円/枚和室
クローゼット扉の補修10,000〜25,000円/箇所折れ戸・引き戸
蝶番・ドアノブ交換5,000〜15,000円/箇所部品代+施工費

鍵交換

鍵の種類単価セキュリティ水準
ディスクシリンダー10,000〜15,000円
ロータリーディスクシリンダー12,000〜18,000円
ディンプルキー15,000〜25,000円
電子錠・スマートロック20,000〜50,000円

ガイドラインでは鍵の取替えは「物件管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当」とされています。借主の紛失や破損がない限り、退去時の鍵交換は原則として貸主負担です。

ハウスクリーニングの費用

退去時のハウスクリーニングは、多くの賃貸物件で特約により借主負担とされています。

間取り費用相場
ワンルーム・1K25,000〜35,000円
1DK・1LDK30,000〜45,000円
2DK・2LDK40,000〜55,000円
3DK・3LDK55,000〜80,000円
4LDK以上70,000〜100,000円

クリーニング特約が有効となるには、借主が費用負担の内容を認識し、合意していることが要件です。金額が契約書に明記されていない曖昧な特約は、有効性が争われる場合があります。

間取り別の総額目安

個別の単価を見た上で、退去時に発生する費用の総額がどの程度になるかも把握しておきましょう。以下はハウスクリーニング代を含めた、借主負担分の一般的な相場です。

間取り費用相場(借主負担分)費用の中心になる項目
ワンルーム/1K2万〜5万円ハウスクリーニングが大半
1LDK/2DK3万〜8万円クリーニング+部分的なクロス補修
2LDK/3DK5万〜12万円クロス張替え、フローリング補修が加わる
3LDK/4DK8万〜20万円居室数が多い分、部位ごとの補修が積み上がる

この金額はあくまで目安です。タバコのヤニ汚れやペットによる損傷がある場合は、上記を大きく超えることがあります。物件ごとの詳しい費用構造は費用相場ガイドで解説しています。

見積もり照合の実務ポイント

単価表を活用して見積もりを照合する際に、確認すべきポイントを整理します。

単価の妥当性を確認する

受け取った見積もりの各項目について、この記事の単価表や部位別単価DBと照合してください。単価が相場の上限を大幅に超えている場合は、工事業者に根拠を確認する価値があります。

ただし、地域によって人件費や材料費に差があるため、東京23区を中心とする大都市圏では本記事の相場より1〜2割高くなることもあります。逆に、地方では相場の下限に近い単価で収まるケースが多い傾向です。

数量(施工面積)の整合性を見る

単価だけでなく、施工面積(m2)や数量にも注意が必要です。壁の一部に傷があるだけなのに部屋全体のクロス張替えとして計上されている場合は、「部分補修で対応できないか」と確認してみてください。

ガイドラインでは、可能な限り毀損部分の補修にとどめることが望ましいとされています。ただし、クロスは色合わせの都合上、1面単位(壁1面)での張替えが最小単位になることが一般的です。

経年劣化控除が反映されているか

入居年数が長い物件では、耐用年数に基づく減価控除が重要です。入居6年以上でクロスの全額を借主に請求している見積もりは、ガイドラインの趣旨に反する可能性があります。

耐用年数が6年の部材(クロス、CFシート、カーペット)は、入居6年を超えると残存価値がほぼゼロです。見積もりに経年劣化控除が反映されていない場合は、管理会社や業者に確認してください。

「一式」表記に注意する

見積もりに「原状回復一式 ○○円」としか記載されていない場合、各項目の単価と数量が判断できません。部位別・工事内容別の明細を求めましょう。管理会社に「明細をいただけますか」と伝えれば、多くの場合は対応してもらえます。

店舗・オフィスの原状回復単価

住居とは異なり、店舗やオフィスの原状回復は坪単価で見積もられることが一般的です。住居用の単価表とは費用水準が異なるため、別途確認が必要です。

物件種別坪単価の目安備考
小規模オフィス(〜50坪)3万〜5万円/坪パーティション撤去、OAフロア復旧等
中規模オフィス(50〜100坪)5万〜8万円/坪内装解体、空調工事が加わる
大規模オフィス(100坪〜)8万〜15万円/坪ビルグレード・指定業者の影響大
飲食店10万〜30万円/坪厨房設備の撤去、給排水工事
物販店舗5万〜15万円/坪造作撤去の範囲による

オフィスの原状回復では「指定業者」制度により費用が割高になりやすい構造があります。複数の業者から相見積もりを取ることが費用適正化の基本です。詳しくはオフィスの原状回復店舗の原状回復をご覧ください。

業者選びと相見積もりの重要性

原状回復工事の単価は業者によって異なります。同じ工事内容でも、業者の規模、下請け構造、繁忙期かどうかで2〜3割の差が出ることは珍しくありません。

管理会社やオーナーが工事を発注する立場であれば、複数の業者から見積もりを取って比較することが費用適正化の第一歩です。比較の際は、単価だけでなく工事範囲(施工面積)、使用する材料のグレード、養生や廃棄物処理の費用が含まれているかも確認してください。

業者選びの具体的な基準と注意点は、業者選びガイドで解説しています。退去立会いから見積もり取得までの流れは退去立会いチェックリストも参考になります。

単価表を活用するための前提知識

この単価表をより正確に活用するために、原状回復の負担ルールの基本を押さえておくことが重要です。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(1998年策定、2004年・2011年改訂)では、通常の使用による損耗(通常損耗)と経年劣化は貸主負担、借主の故意・過失による損傷は借主負担とする原則が示されています。見積もりの各項目が通常損耗に該当するのか、借主の過失に該当するのかの判断基準についてはガイドライン解説をご確認ください。

出典: 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」(2011年8月)

単価表データベース:部位別の施工目安単価

各部位の施工目安単価と経年劣化の耐用年数は、部位別データベースで個別に確認できます。本記事の単価表は概観で、実際の見積もり照合では下記の部位別単価表で施工目安単価の上限・下限を確認してください。

単価データベース(部位別の費用相場)

耐用年数データベース(経年劣化の年数)

見積もりの確認や費用のご相談

手元の見積もりについて「この単価は妥当か」「経年劣化控除が正しく反映されているか」など、判断に迷う場合はお気軽にご相談ください。

賃貸リフォーム研究所では、原状回復工事の見積もりに関するご相談を無料で受け付けています。

出典・参考文献

よくある質問

原状回復工事の主な単価はいくらですか?
代表的な単価は、量産品クロスが1,000〜1,200円/m2、1000番台クロスが1,200〜1,500円/m2、クッションフロアが2,700〜4,500円/m2、畳の表替えが5,000〜8,000円/枚です。見積もりでは単価だけでなく施工面積も確認します。
量産クロスと1000番台クロスの違いは何ですか?
量産品クロスは賃貸物件で最も多い白系・無地の普及品で、単価は1,000〜1,200円/m2が目安です。1000番台クロスは柄物や防カビ・消臭などの機能性クロスを含む中級品で、1,200〜1,500円/m2程度とやや高くなります。
ハウスクリーニングの単価はどのくらいですか?
退去時のハウスクリーニング相場は、ワンルーム・1Kで25,000〜35,000円、1DK・1LDKで30,000〜45,000円、2DK・2LDKで40,000〜55,000円、3DK・3LDKで55,000〜80,000円です。特約が有効な場合は借主負担になることがあります。
部分補修と全面張替えはどう判断しますか?
見積もりでは、損傷の範囲と施工面積の整合性を確認します。壁の一部の傷なら部分補修や壁1面で足りるかを確認し、部屋全体の張替えになっていないか見ます。フローリングは部分補修では経過年数を考慮せず、全面張替えでは建物の耐用年数に準じます。
単価表で見落としやすい費用項目は何ですか?
単価比較では、材料と施工費だけでなく、施工面積、使用する材料グレード、養生、廃棄物処理、諸経費が含まれているかを確認します。「一式」表記だけでは各項目の妥当性が判断できないため、部位別・工事内容別の明細を求めることが重要です。

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